司会:本書(=『投資の大原則』)の中では、分散投資の利点について触れられています。マルキール博士、分散投資にはどのような利点があるのですか?

マルキール氏:例えば、ポートフォリオが債券と株式で構成されているとしましょう。分散投資の利点の一つは、債券と株式が同じ方向に動かないことから生じます。
すなわち、株式が非常に好調な時、債券は不振を極めることがよくあり、またその逆もあります。株式のパフォーマンスがよくない時、債券は堅調であることがよくあります。なぜなら、景気後退時には金融当局が資金を注入し、金利が下がるため、債券相場が強含むからです。したがって、ポートフォリオに動きの相反する、2つの資産クラスが含まれていた場合、一方が下がれば、他方が上がって、そういった分散効果がリスクを軽減し、たった一つの資産クラスしか持たない場合に比べて、長い目でみればはるかに変動が小さくなる傾向があります。


エリス氏:そして、分散は素晴らしいニュースに酔いしれたり、悪いニュースに悲観することを防ぎます。何年か後に振り返ってみれば、「賢い投資ができた。あれが正しかったのだ。結果的には非常にうまくいった」と思える、強力で賢明な長期投資プログラムを維持する可能性が高くなります。

司会:そのために資産クラスを分散させるのですね。その他にも分散投資する方法はありますか?

マルキール氏:同じ資産クラスの投資においても、非常によくない間違いの一つは、米国内に偏重することだと思います。経済学者が言うところの「ホームカントリー・バイアス」です。それについては、大いに気をつけたいところですね。
 具体的には、GE(ゼネラル・エレクトリック)やIBMといった米国株を買う場合でも、実際には世界中で事業を行う企業の株式を購入しています。しかし、米国は世界経済の約40%を占めるにすぎず、株式投資の100%を米国株に振り向けるべきではありません。世界の新興国市場を含めた多くの他の諸国は、米国よりもはるかに急速に成長しています。
 私にとって分散投資とは、米国に偏重するなということです。世界全体の経済、特に非常に速いペースで成長している世界の新興国市場に注目してください。


司会:それでは米国外の株式の配分比率は、実際には個人のリスク許容レベルによるというわけですね。

マルキール氏:それは間違いありません。チャーリーと私が申し上げたように、これらのすべてについて、決定的でお手軽なルールは存在しません。多くの人に聞かれることは、私は中国に対してたまたま、とても強気なのですが、どのくらい中国に投資すべきかということです。
 私は、無視しないように、と言うにとどめています。中国やインド、東南アジア諸国にも投資をしてください。これら地域への投資は、こうした諸国の株式を含む、非常によく分散された新興国市場ファンドによってもできます。厳密にどのくらいとは申し上げられませんが、多くの人のポートフォリオを見ると新興国市場への投資がゼロであることが多いため、少なくともこれを高めるべきだと考えます。


エリス氏:これら異なる市場すべてにおいて、似たようなリスクが同時に発生する傾向が強くなっています。それでも、経済、通貨、政府、業界の性質、業界の構造において多様性は存在します。世界の市場全体をみると、およそ半分は米国以外であり、だいたい半分は米国であると言えます。それによって興味深い疑問が生まれます。
 もしあなたの海外への配分比率が、世界の実態と比べてかなり低かったら、本当に低くてもいいですか?それをよく考えたことがありますか?自分で判断し、本当にそれでいいと言うなら結構です。しかし、それについて考えたことがないのであれば、考える価値はあります。