超人という夢と呪いが瞬いては消えていく星屑銀河物語、今週はスーパージャガーこと芳村兵馬の物語。
時の河を行き来し自分の肉体すら切り貼りして超人に拘った男は、一体どのような始末を夢と過去につけるのか。
三人のジャガーが織りなす時間の物語は、時間SFとしてのこだわりをも含んでいて、とても面白かったです。

第10話にしてやってきた豹マンメインの話でしたが、これまで今一顔の見えなかったジャガーさんの価値観や能力、生き様がしっかり見えてくるエピソードだったと思います。
今回の話が来るまでジャガーさんはどこか超越的というか、時間という神の領域をいじれるが故の倫理の希薄さを勝手に感じていたわけですが、この作品の他のキャラクターがそうであるように彼もまた、自分なりの灰色の世界を選びとった存在でした。
正確に言うと、倫理レベルと価値観が違う三人のジャガーを対比させることで、僕達がよく知るジャガーさんがバランスの取れた価値観の持ち主であることを見せた、というべきか。
『失われた無垢性への憧れと離別』というのはやはりこの作品の基本軸だと思うわけですが、ジャガーさんが立ち向かったのが『過去の自分』というのはなかなか面白い。

『時間介入を行った世界が入れ替わるわけでも分岐するわけでもなく、適宜修正を受けながら上書きされていく』という時間解釈は、なかなか独特で面白かったです。
このSF敵解釈のおかげで三人のジャガーが同時に存在して、時間的変化によって価値観を変化させた様子を横並びに観察できるわけで、ただ斬新なアイデアというだけではなく、物語的に大きな意味を持ったギミックだと思いました。
『人型巨大ロボット』という無垢な憧れの塊に対する対応で、IQのジャガーさんと超人課のジャガーさんが何を価値と考えているのか端的に見せたり、今回はアイテムの使い方が全体的に上手かった。

『白黒はっきりつけて、(自分の中の)黒を白く塗りつぶすことで正義は為される』というIQの理想を、超人課設立に関わったジャガーさんは自分の消滅をかけて否定します。
この過去との格闘は年代ジャンプを使って爾郎が見せてきたものであり、ジャガーさんが否定しようとした絶滅主義が、爾郎にとっては超人課による管理なんだろうなぁ。
ジャガーさんが辿り着いた現実的な対応が、『未来編』の爾郎にとっては否定すべき過去だというのが、なんとも皮肉なところだ。
『世界は灰色だけど、白くて綺麗なものの見方にはなれる』という意味では二人共同じ価値観なんだが……むしろだからこそ、何が白くて白をどう守るのか、そのやり方が食い違うのか。

爾郎が『正義』に向けるのと同じように強く熱い思いが、ジャガーさんにとっての『超人』にもあったと感じられたのは、なかなか良かったです。
『未来では超人がいない』というのは作品世界の根本を揺るがす事実だし、これを見せることでジャガーさんの思いも、これまで真っ黒に見えた超人課の白い面も見えてくるという、良い混ぜっ返しだ。
『悪者を皆殺しにすれば世界は良くなる』というIQの幼い思想を見せることで、『もしかしたらどす黒い超人課の裏に、白い理想があるのかもしれない』という想像力が伸びていくのは、視聴者のイマジネーションを信じて刺激する一手だよなぁ。


今回は『超人課イノセント三人衆(『過去編』の爾郎・輝子・風郎太を表す造語。今作った)』にまんべんなく絡みがあり、色々掘り下げが行われてました。
「エクウス、頭を下げたりしろ!」の切れ味が異常だったり、『正義と悪が解りにくいなら、皆殺しにすりゃいいじゃん』というIQの理想に共感しちゃうオバケ力だったり、風郎太は良いコメディリリーフだった。
大暴れする風郎太を諌めたり受け流したりすることで、ジャガーさんの兄貴ポジションが強調されるのもグッドだったね。

爾郎は悩める若者としての顔を前面に出し、ジャガーさんの思いを身近で感じる存在としていいトス上げしていた。
ジャガーさんの幼い憧れの象徴である変形二足歩行ロボットを受け継ぎ、少年のような憧れの表情を見せる爾郎は、擦り切れつつも大人になりきれないジャガーさんの弟のような存在であり、キャラクター間の共鳴がしっかり発生しているのを感じてとても良かった。
エクウスというレガリアで繋がった関係を見せたからこそ、『未来編』ではその絆が千切れてしまうやるせなさも強調されるなぁ。
あと笑美の支援性能がまた向上していて、妖怪のスペックすげぇなってなる。
飛行能力付与もできんのかよ。

輝子は圧倒的な立ち回り性能を持つジャガーさんに唯一食らいついたり、特異点を狙って創りだすことで親殺しのパラドクスを回避するウルトラCを見せたり、かなり輝いていた。
ジャガーさんも輝子も運命を改変することに躊躇がなくて、そういう意味で一般的な倫理とは少し離れたところにいるのだなと思う……さすが怪物ランドのプリンセス。
瞬間転移で時間停止に拮抗するところとか、やっぱ輝子の能力は作中唯一『活かす』能力だなぁと思います。
爾郎の決意は結局、IQの女達を皆殺しにする結果を呼び寄せたわけだしねぇ。

ゲストキャラも面白い連中ばかりで、忍者部隊月光+赤影な赤光先輩の忍者アクションとか、リファインされた流星号で無差別殺戮するIQとか、コンレボらしい捻り方だった。
立てこもり事件の身も蓋もない解決法は、一発で『ああ、こいつらどうにかしなきゃ』と思わせる身も蓋もない絵力があって、良い導入だったなぁ。
IQを支援していたお偉いさんに里見顧問がいたように思うのだが、ジャガーさんの幼い理想で作られたIQも悪くて賢い大人に操作される道具だったという証明に思えて、少し悲しい。
つうか里見顧問もマジ真っ黒だな……元ネタ考えれば当然か。

というわけで、謎めいた時間旅行者が秘めた決意を感じ取れる、良いエピソードでした。
『強いのは分かるけど、何考えてるか判んない奴』が『主人公と方向性は違えど、真摯な思いを持っている奴』に変わるのは、やっぱりカタルシスがあって気持ちが良い。
知らない奴が知っている奴になること、未知の行動理念があらわになる瞬間というのは、単純な物語のパワーに満ち溢れていてとても面白い。
やっぱり感情のうねりが根本にあって、それがSF的なアイデアや捻ったガジェットを活かすことによって更に強まり、良く届くお話なのだなと再確認しました。
いやー、面白いなぁ、このアニメ。